Webライターとして案件を獲得するために企業にも提案文を送っても返事が来ないことに頭を抱えていないでしょうか?
私は中小企業のWeb事業部の責任者として、5年間Webライターの提案文を読み、採用判断をしていました。
そうした立場から率直にお伝えすると、提案文は「応募時に添える文章」ではありません。
提案文は、採用率を大きく左右する営業資料であり、発注者に対して「この人に頼みたい」と思ってもらうためのプレゼンテーションの場でもあります。しかし、このことを知らないWebライターが多いように思えます。
そこでこの記事では、Webライターの提案文における基本的な構成、採用率を高める書き方や提案文のテンプレート的な例文等について解説します。
Web系クリエイターに仕事を依頼する企業の発注者責任者
早稲田大学卒。2015年からWebライターとしてWeb業界にデビュー。最初はライターとして年間200記事超えのペースでコンテンツ作成を担当。
その後、コンテンツディレクター、Webメディア運営の責任者にキャリアアップし、累計12のWebメディアをグロースさせる。現在は人材・教育系の会社でWeb事業部での責任者を務め、Web系フリーランスの方々にお仕事を発注している。
自身も現役のWeb人材であると共に、累計で100名程のWeb系職種の方と大なり・小なりのお仕事をしてきた事からWeb系人材のキャリア形成に精通している。
目次
Webライターが提案文を書く際の大原則
Webライターの提案文は、第一印象を決める大切な文章です。
クライアントは提案文の文面から、募集内容を理解しているか、必要なスキルがあるか、やり取りがスムーズそうか、信頼して任せられそうかをチェックしています。
つまり、提案文は自己紹介であると同時に、「自分がどう役立てるか」を伝えるラブレターでもあります。
そのため、提案文では自分のことを一方的に話すのではなく、案件に合わせて必要な情報を簡潔に伝えることが重要です。
提案文に入れておくべき内容
| 最低限入れておきたい事 | 記載する事 |
|---|---|
| あいさつと自己紹介 | 最初に簡単なあいさつ文を入れたうえで、自分の名前やWebライターとしての経歴、得意分野を簡潔に記載します。 |
| 応募理由と案件内容を理解していることが伝わる文面 | なぜ案件に応募したのかを募集内容を正しく理解していることが伝わる形式で記載します。 |
| 自分の強みや貢献できること | 自分の得意分野や強み、依頼者に対してどのように貢献できるかを具体的に記載します。文章力、構成力、SEOの知識などのスキルがあれば、募集要項と絡めて伝えるようにしましょう。 |
| 実績または案件と関連した経験 | 過去の執筆実績や、今回の案件に近いテーマでの経験があれば記載します。公開可能な記事URLやポートフォリオがあれば、あわせて示します。 |
| 稼働時間と返信の早さ | 1日にどの程度稼働できるか、連絡にどれくらいの速さで返信できるかを記載します。 |
| 納期への対応可否 | 提示されている納期に対応できるかどうかを明記します。無理のない範囲で、柔軟に対応できる場合はその点も伝えます。 |
| 最後の結び | 最後に、読んでもらったことへのお礼と、前向きに検討してほしい気持ちを簡潔に記載して締めます。 |
クライアント視点をもって書くことが重要
提案文を書くときは、クライアント視点を持つことが大切です。
「何を書けば自分を良く見せられるか」ではなく、「何を書けば相手の不安を減らせるか」、「相手への貢献心が伝わるか」という視点で組み立てると、文章の精度が上がります。
たとえば、実績をただ並べるのではなく、「過去の○○という経験をいかして、今回の案件では△△の部分で貢献できます」と書くのが望ましいです。
以上のように、提案文の内容がクライアントの役に立つ、貢献できるという切り口で記載するようにしましょう。
提案文を書く際の3つの心得
提案文を書く際には、丁寧さ、具体性、簡潔さの3つを意識することが重要です。
丁寧さというのは、相手に失礼のない言葉づかいで、読みやすい文章に整えることです。誤字脱字を減らし、礼儀正しい表現を心がけることで、安心して任せられる印象につながります。
具体性というのは、実績や対応範囲、返信時間、稼働時間などを、できるだけ明確に伝えることです。数字や事実を交えて示すことで、読み手が依頼後の流れをイメージしやすくなります。
簡潔さというのは、必要な内容を無駄なくまとめ、要点がすぐに伝わるようにすることです。熱意を伝えることは大切ですが、長く書きすぎるよりも、必要な情報をわかりやすく整理したほうが高く評価されやすいです。
この3つを意識して、相手に伝わりやすく信頼される提案文を作成することが大切です。
Webライターが提案文を書く際の具体的な手順
提案文は、その場の思いつきで書くより、順番を決めて作ったほうが伝わりやすくなります。提案文を作成する際のおすすめの手順は、以下の通りです。
- 募集要項をしっかり確認する
- クライアントの疑問を解消する
- 貢献できるポイントを伝える
- 意欲を記載するようにする
手順1:募集要項をしっかり確認する
提案文を書く前に、まず募集要項を細かく確認します。特に見ておきたいポイントは以下になります。
- 記事のテーマやジャンル
- 想定される読者層
- 基準の文字数
- 目安の納期
- 報酬
- 執筆時のルール
- 応募時に必要な情報
- 禁止事項の有無
ここを読み飛ばすと、どれだけ提案文の内容が丁寧でも「募集内容を理解していない人」という印象になりやすくなります。
そのため、募集要項を確認し、クライアントが何を求めているのかを確認しましょう。その上でクライアントの要望に即した提案文の作成を心がけることが重要になります。
手順2:クライアントの疑問を解消する
提案文を書く際には、読み手になるクライアント側が抱く疑問を考え、解消できる内容の記載を心がけます。
クライアントはあなたの提案文を読みながら、あなたに自社の案件を任せてよいかを考えます。
そのため、以下をはじめとした提案文を読んだクライアント側が抱く疑問点を解消できる文面に仕上げましょう。
- 「この人は募集内容を理解しているだろうか」
- 「納期を守れそうか」
- 「やり取りはしやすいか」
- 「テーマに合う経験はあるか」
読み手が提案文を読んで感じる疑問点や不安点を解消できる情報を提案文に添えられれば、あなたの魅力度が増します。
手順3:貢献できるポイントを伝える
提案文では、あなたの経験や実績や強みをそのまま並べるだけでは不十分です。重要なことは、過去の経験や実績や強みを通してどのように貢献ができるのかを明記する事です。
たとえば、SEOライティングの案件に応募する際に、「SEOライティングの経験があります」とだけ提案文に記載するだけでは、読み手はどのように貢献してくれるかわかりません。
一方で、「検索者の検索意図に即したSEOライティングの経験が豊富です。そのため、今回の案件でも検索意図を踏まえた記事の構成案の作成と読者を想定したライティングを行います」と書けば、あなたにできることが伝わりやすくなります。
以上のような貢献できるポイントを記載するために、応募する案件と関連した経験や実績や強みを洗い出しましょう。
その上で、洗い出したポイントが応募する案件にどう役立つかを明記することが重要です。
手順4:熱意や意気込みを伝える
最後は、案件への熱意を簡潔に伝えて締めます。
私自身Webライターが書く提案文をよく読みますが、熱意がある提案文には好印象を抱くことが多いです。
熱意を伝える際には、「なぜこの案件に応募したのか」「どのように貢献したいのか」を見える形にすることが重要です。一例は以下の通りです。
「以前から貴社メディアを拝見しており、初心者にもわかりやすい構成に魅力を感じていました。良く知るメディアの発展のために、私自身も読者目線を意識した記事を納品していきたいです。
これまでの経験を活かして、貴社メディアの発展に繫がる高品質な記事を納品しますので、よろしくお願いします。」
上記のような文面があれば、読み手は好印象を抱く可能性が高いです。
提案文の例文テンプレート
次は、実績が十分な場合の提案文の例と実績が少ない場合の例をそれぞれご紹介しますので、ぜひご覧下さい。
長文にしすぎず、必要な要素が揃う構成にしている以上、○○の部位を応募する案件に即した形に編集すれば、そのまま使えるはずです。
実績がある場合の提案文の例
〇〇様
はじめまして。Webライターの〇〇と申します。
このたび、貴社の「〇〇に関する記事執筆」の募集を拝見し、応募いたしました。
私はこれまで、〇〇ジャンルを中心に〇〇本以上の記事を執筆してきました。構成作成から執筆、必要に応じてWordPress入稿まで対応可能です。公開可能な実績は以下のとおりです。
- ポートフォリオURL
- 記事URL
- 記事URL
今回の募集内容を拝見し、〇〇に関する知識と、これまでの〇〇分野での執筆経験をいかせると考えております。
読者の検索意図を踏まえた構成と、わかりやすさを重視した文章で、貴社メディアに貢献いたします。
稼働時間は週〇〇時間ほど確保でき、納期についてはご依頼いただきましてから〇日程度での納品が可能です。ご連絡には原則〇〇時間以内に返信いたします。
ご縁がありましたら、誠実に対応いたします。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
実績が少ない場合の提案文の例
〇〇様
はじめまして。Webライターの〇〇と申します。
このたび、貴社の「〇〇に関する記事執筆」の募集を拝見し、応募いたしました。
Webライターとしての実績はまだ多くはありませんが、〇〇について継続的に学習しており、関連情報の収集と整理には自信があります。
これまでの〇〇の経験で培った、正確に情報をまとめる力と、相手に伝わる形に整える力を生かせると考えております。
今回の案件では、募集内容にあった〇〇の視点を意識し、読者にとってわかりやすく、読み進めやすい記事を丁寧に作成いたします。必要に応じて修正にも柔軟に対応いたします。
稼働時間は週〇〇時間ほど確保でき、ご依頼から〇日程度でご納品が可能です。ご連絡には原則〇〇時間以内に返信いたします。
一つひとつのご依頼に誠実に取り組みます。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。
提案文のテンプレートのポイント
実績があるケース例文であろうと、実績がないケースの例文であろうと、以下の通りの流れにしております。
- ご自身の名前を名乗る
- 応募理由を伝える
- 案件との相性を示す
- 実績や関連経験を書く
- 稼働条件を伝える
- 丁寧に締める
以上の流れで記載をすれば、しっかりとした流れの提案文になります。
Webライターが採用に繫がる提案文を作成するコツ
企業側に送る提案文の採用率を高めるために心がけたいポイントをこれからご紹介します。
案件ごとに提案文をカスタマイズする
まず、案件ごとのカスタマイズは必須です。クライアント名や案件名を正確に書くのはもちろん、募集文の中で重視されている言葉を拾い、提案文に自然に反映させましょう。
たとえば、募集文に「SEOライティング」、「記事構成案の作成」といった内容が求められているとします。
その場合、ご自身のSEOライティングや記事構成案の作成の経験やその業務に着手する際の姿勢を添えると案件とのマッチ度の高さが伝わります。
提案文作成の際にテンプレート文を使う場合であっても、応募する案件に即した形で書き換える事が重要な点は押さえましょう。
応募する案件に即した実績を中心に記載をする
提案文で実績を伝える際には、応募する案件と関連する実績に絞って伝えることが大切です。
すべての実績を並べるよりも、案件に近い経験を示したほうが、印象に残りやすくなるためです。
たとえば、女性向けの化粧品の商品レビュー案件に応募する場合は、美容記事やレビュー記事の実績を優先して提示しましょう。
そうすれば、過去に似た案件に取り組んだことがある経験者であることを伝えられるので採用されやすくなるはずです。
提案文を作成する際の注意点
提案文は、良い内容を書くことと同じくらい、マイナス評価を避けることが大切です。
特に注意したいのは、「初心者であることの強調」、「実績の誇張や嘘の記載」、「テンプレートの使い回し」という3つを避ける事です。それぞれについて補足します。
初心者であることの強調は避ける
実績が少ない人ほど「初心者ですが頑張ります」と書きたくなりますが、初心者という単語は相手に不安を与えやすい表現です。
なぜなら、経験がない以上、案件を任せてもきちんとこなせないのでは、という不安感を抱かせるためです。
どうしても経験が浅いことを伝える必要がある場合、経験は浅いものの「何ができるか」も一緒に伝えたいです。
「初心者ですが頑張ります」という書き方をするのではなく、「実績は多くありませんが、〇〇分野の知識と丁寧なリサーチで読者に伝わる記事を作成します」といった書き方の方が望ましいです。
実績の誇張や嘘の記載も避けよう
実績の誇張や嘘の記載も避けてください。下手に実績や経歴を盛ると相手の期待値を不用意に上げる事になります。
また、提案書に嘘を記載する場合、嘘がばれた時点で落とされます。事実上の経歴詐称になるためです。
そのため、実績の誇張や嘘の内容を提案書に記載をすることは絶対にやめましょう。
テンプレートの使い回しを避けよう
さらに、テンプレートの丸写しも避けたいところです。テンプレートは提案文作成の土台として便利ですが、内容は応募する案件に即した形に修正をしましょう。
特に募集内容を読んだ感想、今回の案件でいかせる経験、貢献できるポイントは必ず修正したいです。
提案文の通過結果は内容だけでは決まらない
提案文そのものを整えることは重要ですが、それだけで案件受注が決まるとは限りません。
案件が取れるかどうかは、提案文の内容に加えて、これから取り上げる各項目の印象も影響します。
| 項目名 | 詳細 |
| プロフィールの内容 | 提案文に得意分野や対応業務を書いていても、プロフィールの情報が不足していると信頼につながりにくくなります。そのため、プロフィール文には、得意ジャンルや対応可能な範囲、経験などを明記しておくことであなたの実力や実績が伝わるようにしましょう。 |
| ポートフォリオの有無 | 提案文で実績や強みを伝えるだけでなく、それを裏付けるポートフォリオがあると判断してもらいやすくなります。たとえばSEOライティングが得意と伝えるなら、過去に執筆をした記事の原稿や順位実績を示せると効果的です。 |
| 返信の早さとスムーズさ | 提案文の内容に加えて、やり取りがスムーズにできるかも見られています。返信が遅かったり、やり取りがわかりにくかったりすると、仕事を安心して任せられるか不安を持たれやすくなります。 |
| ビジネスマナー | 文章がビジネス文書として自然か、言葉遣いが丁寧かといった点も印象を左右します。あわせて、宛名、メールアドレス名、ポートフォリオのファイル名といった細かな部分も、信頼感に影響する要素です。 |
このように、送付した提案文の通過結果は、提案文の内容だけで決まるわけではありません。
プロフィールやポートフォリオ、やり取りの姿勢、ビジネスマナーまで含めた総合的な評価結果から判断されます。
そのため、提案文の通過率を高めたい場合は、文章を整えるだけではなく、提案前後を含めた見られ方全体を意識して準備することが大切です。
Webライターの提案文は準備と工夫で通過率を高められる
Webライターが提案文を送った際の通過率を高めるためには、以下のポイントを押さえることが大切です。
- 提案文は、自己紹介ではなく「自分がどう役立てるか」を伝える営業資料として考える
- あいさつ文、応募理由、実績、貢献できること、稼働条件などの基本項目を過不足なく入れる
- 募集要項をよく読み、クライアントの疑問や不安を解消できる内容に整える
- 応募する案件ごとに内容を調整し、案件に近い実績を優先して記載する
- 不明点がある場合は、提案文を送る際に確認が必要な事項を簡潔に添える
- 初心者であることの強調、実績の誇張、テンプレートの使い回しは避ける
- 提案文は内容の良し悪しだけではなく、プロフィール、ポートフォリオ、返信の早さ、ビジネスマナーも含めて見られていることを意識する